「なおがペンギンになった日」

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なおさん
「夢の実現」のお話を主治医の先生からお聞きしたのは、当時 5 歳の娘、なおの脳幹部の腫瘍が再燃し、二度目の放射線治療が始まった頃でした。
なおは三姉妹の末っ子で、私達両親と年の離れた姉達にたっぷりと愛情を注がれ、すくすく育ちました。公園で遊ぶといつも好みの大きな枝を持ち帰り満足顔。ペンギンとカエルと魚釣りが大好きで、好物はお刺身とお肉。小さい頃からお気に入りの温水プールに行くことが楽しみの一つでした。

なおの夢は「ペンギンになって海で泳いで魚をとって食べたい!」というものでした。さすがに海に潜ることはできないけれど、大好きなペンギンとお友達になって一緒に行進したり、えさやりしたりできたら……。そんな夢をかなえるために Make-A-Wish が紹介してくださったのが、長崎ペンギン水族館でした。なんとペンギン専用のビーチがあるというお話でした。

訪れてみると海沿いに立つアットホームな水族館で、職員の皆様にとても温かく迎えていただきました。館内はどこへ行ってもペンギン。なおは持参した車いすは一度も使わず、張り切って歩き回りました。
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えさやり体験では、手に持つえさに飛びついてくるペンギン達にびっくり。そしていよいよペンギン達のビーチまでの行進タイム。なおも仲間に入れてもらったのです。ビーチへ急ぐペンギン達の最後尾につき、飼育員さんととことこ歩くなおはペンギンになりきっていました。ビーチでは間近に迫るペンギンの迫力に、なおが後ずさりする場面もあり、皆で大爆笑。本当に夢のような一日を過ごしました。
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お土産は散々迷って、雪の家「イグルー」つきの赤ちゃんペンギンのぬいぐるみ。なおは、その日からこのイグルーの中にポケモンのフィギュアなどの宝物をペンギンと一緒にしまい込み、いつも枕元に置き大切に遊びました。

亡くなる直前までプールに通い、気持ちよさそうにぷかぷかうかんだりして、水と戯れました。もしかしたらあの日のペンギン気分だったのかもしれません。

「夢の実現」をサポートしてくださった皆様、そして旅行中温かく私達に寄り添い、すばらしい写真をたくさん撮ってくださったボランティアさんに、改めて心より感謝申し上げます。
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